取材した人:東 賢志
こいのぼりの生産数が日本一であり、加須うどんでも有名な埼玉県加須市。中心部から北に位置する渡良瀬遊水地を舞台に行われた「チームケンズカップ・2015紅葉チャレンジトライアスロン・デュアスロンフェスティバルin北川辺」。
ケンズカップの今期最終戦で4回目となる今大会は台風25号の影響で会場入りから非常に風が強かった。雲一つない快晴ではあるもののときおり突風が吹き付ける。帽子などは押さえていないと簡単に飛ばされてしまうようなコンディションに加え、肌寒さも感じられた。遊水地の一部である谷中湖(スイム会場)は白波も目立っていていわゆる"うさぎが跳んでいる"状態だ。
午前7時頃に大会本部から参加者に向けてレース内容変更アナウンスが流された。強風による救助の困難性、バイク走行の危険性と前置きをして「スイムとバイクの中止」が決定された。本部としても苦渋の決断であり、参加者も残念な表情を浮かべたが会場の有様を肌で感じているだけに誰しもが納得した様子だった。
はからずも「ラン」のみとなった今大会。部門別のコース距離はキッズディアスロン低学年の部(小1~小2)、1.5km。同・高学年の部(小3~小6)、3km。デュアスロンA、8km、同・B、4.3km。トライアスロンA、8km、同・B、4.3km。スイムとランの参加者が組むことになったリレーが第一走者3km、第二走者5kmに変更となった(バイク走者は単独で8km)。
ランコースのポイントとしては全部門に共通する中盤、終盤の坂道だ。渡良瀬川の支流を挟む土手を上下する坂道は激坂とまではいかないが2箇所とも80mほど。中盤は上り、ゴール手前の終盤は下りとなる。とはいえその坂道以外は谷中湖沿いのフラットな道なので特に前半部分にいかにペースを守れるか、ということも重要な課題だ。
キッズ部門の参加者は28名、同・高学年は56名と決して少なくはなく他大会と比べても参加への積極性を感じた。レース中、写真を撮ろうとコース付近に立つとどの子どもからも「ゼェゼェ」と激しい息遣いが聞こえ、全力を出して一生懸命に走っている。それはトップの子から最終ランナーの子まで違いはなかった。
完走後に小学1年生の男の子は「坂道が一番大変で疲れたけどすっごく楽しかった! 来年も絶対に来る!」と話してくれ、女の子も男子に負けないタイムを続々と叩き出していた。その中には「走りきることに集中してたらあっという間に終わったよ」という豪気なコメントしてくれる女の子もいた。ちなみに完走率としては100%であり、その元気一杯な姿に、続く大人たちも奮起する姿が見られた。
レース内容に変更はあったものの、大会本部の細かなアナウンスなどで大きな混乱もなく、プログラムは定時通りに進んだ。9時45分からトライアスロンB、ディアスロンBがスタートし、10時30分からトライアスロンA、リレー、ディアスロンAが30秒間隔のウェーブに分かれてスタート。
スタートラインに立つ参加者はどの部門でも手元の時計できちんとタイム等を測ろうとしていて、格好もバラつきはあるものの、トライアスロンスーツをまとった人が多い。記念参加などではないレースへの強い意気込みがこちらにも伝わってくる。
全体的にスタート直後から飛ばしている参加者が多かったのは、ランだけなので体力の全てを注ぎ込めるからだろう。子どもたちと違って「スッスッ」とするどい呼吸をする辺りはさすがだ。「コーナーよりも直線が多いコースで走りやすかった」、「路面もアスファルトだけじゃなく、砂地があったので足への負担が少なかったね」など完走後の参加者が教えてくれた。
ゴール付近では企業のサークルや大学のクラブの声援、また家族の応援もしっかりと発せられていて、中でもフィニッシュ直前の「パパ! がんばって!!」という声にはこみ上げるものがあった。
参加者が続々とフィニッシュを決め、全体の8割が会場に戻ってきた12時頃から表彰式が始まった。相変わらずの強風で表彰台に立つことさえ困難なほどだったが、その他の参加者も最後まできちんと残って入賞者に惜しみない拍手を贈っていた光景はすがすがしかった。ラストはエントリーナンバーでの抽選会を行い、賑やかなうちに大会は幕を閉じた。
今回は強風に泣かされてしまったが、その分、参加者は来年の開催に大きな期待を持っただろう。加えて、結果的に事故やケガ人が出なかったことから「ランのみ」としたことも英断であった。スイムとバイクができることを願って来年の開催をさっそく待ち望みたい。
トライアスロンスタイル編集部員。
世の荒波にもまれ、ようやくトライアスロンスタイル編集部にたどり着いた男。来期の初参戦に向けて現在走りこみ中!? 趣味はキャンプとカラオケ、ゲーム、寝ること・・・・・・。 アイアンマンまでの道のりは果てしない。