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Race Report

いきいき富山トライアスロン2015

開催日
2015年7月19日(日)
開催地
富山県
天候
曇りのち晴れ
気温
最高28.8℃ / 最低24.7℃
水温
21.0℃
出場者数
289名
完走者数
276名
完走率
95%

取材した人:トライアスロンスタイル編集部員

過酷なコースでのレースが15年ぶりに復活

2015年7月19日(日)、国内でも指折りの過酷なコースで競うトライアスロンレース「いきいき富山トライアスロン」が15年ぶりに開催された。51.5kmのスタンダードディスタンスで行われた本大会は、富山県の代名詞である立山連峰や富山湾を中心とした大自然の中を走り抜けるダイナミックなコース設定が特徴。特に富山湾から立山山麓スキー場までの約600mの標高差を一気に駆け上がるバイクコースは、この大会の過酷さを表す最たるものだろう。 過去、このコースを完走するべく全国から500名を超えるアスリートが集い、1987年から14回開催。しかし、会場周辺の観光客や一般車両の増加に伴い、安全なコースを設定することが難しくなり、近年では中止を余儀なくされていた。それでも大会開催を望む愛好者からの声が寄せられ続けた結果、2015年3月の北陸新幹線の開業を機に、トライスロン大会が15年ぶりに復活。

スイムはローカルルールで入門者にも配慮

2~3日前から大型の台風11号が接近して開催自体が危ぶまれたが、大会当日は台風も通過し、スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmをすべて予定通り実施。スタート会場である岩瀬浜海水浴場の浜辺には、久しぶりの開催を待ち望んだ選手たちが集結。選手はここから走り込んでスタート、まずはスイムへと挑む。立山山麓を背に一斉に飛び込んでいく姿は大迫力だ。
スイムコースは、「天然のいけす」と呼ばれる水産資源の宝庫である富山湾を750m×2周回。富山湾は沿岸から急激に深くなるため、今回はローカルルールで、スイムに自信がない選手は腰に風船をつけることができるようにした。この工夫で、スイムが苦手な選手も参加しやすくなり、レスキュー側にとっても注意するポイントが分かりやすくなった。

大会名物「立山ヒルクライム」

大会名物のバイクコースは、前半の約15kmはフラットだが、その後はほとんどが上り基調のコースとなっている。バイク競技後半のヒルクライム部分が「日本有数の過酷なレース」といわれる所以で、トライアスロン常連経験者でも容易には走れない。 バイクの難関は、コース最後の「極楽坂」と呼ばれる平均斜度10%の激坂。これでもかと、坂を上った後に強烈な激坂が現れ、選手には精神的にも厳しいはず。それでも多くの選手がギアを調節しながらテンポよくこの坂を上っていき、バイクを降りて押す姿はあまり見られなかった。
晴天であれば、バイクコースからは3,000m級の北アルプス立山連峰を一望できるが、大会当日の空は雲が広がり、残念ながら景色は見られず。素晴らしい景色を目の当たりにする大会は来年に期待、選手には途中止まってでもぜひ眺めてもらいたい。それでも、時折垣間見える、山々の景色は厳しい道を走る選手を励ました。

スキー場のコースはまるでトレイルラン

ランは、立山山麓スキー場の地形をふんだんに利用した3.3kmの特設コースを3周回する。前半はひたすら登り、後半はひたすら下るというコースで、選手たちは上り坂では走っているのか、歩いているのかわからないスピードで進むも、辛くでも足は止めることはない。給水エリアでは、地元の子供たちが飲み物を渡しながら、一生懸命エールを送っていた。
そんな過酷なコースを制し、選手たちが続々とフィニッシュゲートをくぐっていく。応援に駆けつけた家族や、ともに走った友人と一緒にゲートをくぐる選手も。フィニッシュ時の形はさまざまだったが、フィニッシュしたすべての選手の顔に達成感がにじみ出ている。この様子を見て、素晴らしい大会になったと改めて実感できた。

成功裡に終えた大会は次回へと

本大会を再び復活させた立役者のひとり、いきいき富山トライアスロン実行委員長の佐々木さんは「厳しい道のりを走りきった選手の達成感溢れる顔は15年前と変わらず、その姿に感動した。ほぼゼロから立ち上げた状況であったために、たくさんの不手際があったことを選手の皆様にお詫びするとともに、来年はこれらの反省点を生かし、さらに刺激のある『いきいき富山トライスロン』を全国のアスリートにご用意したい」と、来年に向けた意気込みを語る。
富山県は、水深1,000mを越える富山湾から、3,000m級の山々が連なる立山連峰と、高低差4,000mのダイナミックで変化に富んだ地形であり、その地形を体全体で感じることができるのがこの大会。ミドルディスタンス以上に参加するトライアスリートにも満足できるハードなコースなので、「いきいき富山トライアスロン」にはぜひ多くの選手にトライしてみてほしい。

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