取材した人:小久保よし子
東日本大震災と原発事故による逆境のなか、復興支援イベント「うつくしまトライアスロン in あいづ」が開催された。節電や警察官の人員確保などの課題があり、3種目をすべて猪苗代町内でまとめる例年とは異なるコースだったが、雲に見え隠れする磐梯山を眺めながらのバイクコースや田圃の中を走るランコースは美しく、新鮮だった。
スイムは例年通り、波のない猪苗代湖を2周回するコース。今年は早朝から雨で昨年ほどの透明度はなかったが、水温23℃で泳ぎやすかった。昨年、折り返し地点がわかりにくいという指摘を受けたといい、かなり大きなブイが浮いていた。
バイクはフラットだがUターン箇所が8カ所あり、2周回するパートもある。コースマップだけではわかりにいが、誘導と表示がしっかりしているので迷うことはない。途中コース上に踏切があり、2回通過するが、「降車して渡る」というローカルルールに違反するとペナルティを課せられる。今年、踏切待ち選手には、「マウンテンバイク」の獲得権利が与えられた。40名ほどの踏切待ちがあったようだ。
ランは田圃のあぜ道やフラットな町道を回るコース。1.5キロごとに給水所があるため、通過した回数で距離がわかる。
雨の中、寒くて震えながら誘導し、応援してくれるボランティアスタッフや地元の人たち、農作業の手を休めて応援してくれる人たちの気持ちを考えると、感謝の気持をどう表したらいいかわからない。開会式、「開催が決まったとき、300名ほどの参加があればと思っていたが、ふたを開けてみれば例年と変わらない申込みがあり、皆で喜んだ」という森崎俊紘実行委員長の挨拶があった。
来年もまたここに来て、ゴールまで楽しめるように練習するのがお返しになるのかなと思いながら、昨年同様、ずっと待っていてくれた井上一輝選手(東京ヴェルディ)とハイタッチし、ゴールを踏んだ。
レース終了後は、福島県特産の桃とすいか、ぶどうが並び、選手にはソースカツ丼のお弁当が渡された。雨は降り止まなかったが、猪苗代湖近くに設置された会場では、表彰式や復興支援のためのチャリティオークション、友好大会である「宮古島トライアスロン大会」出場権を争うジャンケン大会で盛り上がった。
編集プロダクション時代に築いた不健康を取り戻そうと10年前にマラソンを始め、途中4年間ほどエアロビクスダンスにはまったが、2010年に「うつくしまトライアスロン in あいづ」をなんとか完走。3種目をマイペースで練習し、時間内完走を目標とするゆるい「トラ生活」を楽しんでいる。トライアスロン歴2年目。医療や生活習慣病、食事療法などの分野を得意とするフリーライター。